FPの仕事をしている原点

私のこれまでは決して平坦な道だったわけではありません。

ここでは、代表FPである私がお金のプロとしての仕事をしている根源についてお伝えしています。

 

銀行員の母の教え

私の母親は銀行に勤める行員でした。

昭和の時代から「投資でお金に働いてもらう」という感覚を持った母親の影響で、私も大学生から資産運用を始めています。

大学生で弾けるための遊びのために散々することもできたでしょう。

ほどほどに大学生活を楽しみながら、当初は「アルバイトで得たお金を証券会社に預けて安定的な投資に回すといったこと」のほうが先を行っている気がしており、当初の大学生にしてはちょっと珍しかったかもしれません。

10年間の金融機関勤務

公認会計士事務所で決算などのアルバイトも経験した私は、大学卒業後に企業の節税対策となるような金融商品やリテール向けの商品を取り扱う金融機関に就職します。

少し前は大学で講義を受けていたような新卒の子が、新人研修を受けた直後「自分の頭と足だけで挙績を上げて来る」という世界に足を踏み入れてなんとも厳しい世界に入り込んだと実感したものです。

暑い夏の日に熱中症になるほど、エネルギーが枯渇しそうなくらいになるまで営業をしていました。

しかしながら大学を卒業したての若い女性にプロフェッショナルも使命感も感じられなかったのか、挙績はずっとゼロ。

そんな私にようやく転機が訪れます。

入社後半年が過ぎ、初めてのご契約のお客様は大学生のお子さんを持つ著名なホテル勤務のお客様でした。

万一の時に家族に残すお金について強烈な使命感を持ちつつ、これからのご自身の未来をより良いものにしたいというお話をしてくださいました。

家族がともに暮らしていく中で安心の必須条件がお金である、ということに大学卒業したての私はまざまざとリアルな世界を思い知らされたものです。

このお客様のおかげで「これまで私は目の前の方のお金に関する悩みや課題に全く向き合っていなかったのだ」といった点を痛感することになります。

それ以降は、水を得た魚のようにFPとしての仕事に使命感ややりがいを持ち、顧客の悩みや課題に向き合いながら契約をガンガン決めて来る職員へと昇華していきました。

「顧客にとっていいと思っていただけるまで、時間を重ねて理解していただき、人間関係を構築する」

仕事の話以前に、人に信用していただくことが仕事の大半を占めていたと言っても過言ではないでしょう。

金融機関の営業マンにとっての栄えある賞の一つに、ご契約の継続率(5年内の継続率90%)・販売力・商品の品質に関する評価に与えられるインターナショナルクオリティーアワードがございます。

ご契約いただいたプランがお客様が求める内容と反しているならば、とっくに解約されておかしくもありません。数か月顔を合わせていないお客様がほかの金融機関の営業マンに別なプランを提案されたならば、一定率解約されて何らおかしくありません。

それほど人の心は移り変わりやすいものだと実感しながら顧客のフォローも決して手を抜きませんでした。

「いい商品をおすすめされたから契約を継続している」そのお客様の割合が9割超、この実績以上に私が顧客に提案してきたプランニングの正当性が認めていただいた証拠はないのではないかと思えます。

20代の女性がなぜ仕事中毒に陥ったのか

専門職として誇りある仕事をしているという満足感ややりがいを感じ、お客様にも恵まれて若くして業績を上げていましたが、けれど心の中はどこかドライで本質的な心の豊かさや幸せは持ち併せていない女性でした。

20代のとき、両親が熟年離婚しています。

当初であっても3組に1組は離婚する時代ではあったものの、両親の熟年離婚で心が荒み切っており、まるで自分のバックグラウンドや出自が根底からなくなってしまったような空虚な感覚だったのです。

当初は、この家族からくる辛さを忘れたいがために働いていたも同然。仕事をしていれば誰かの役に立てて悲しさを忘れられるとすら思っていました。

仕事をしていれば誰かの役に立てて自分が誰かに必要とされることをよく実感していたのです。顧客と話すことが何より好きでした。

家族という基本的な社会的基盤の形成と維持を手放しした父親に、「お前に社会で何ができると思ってるんだ?」といった趣旨の言葉を浴びせられたことがあります。

20代の娘に対して向ける父親の言葉ではない。この人は私の親じゃないんじゃないか?」率直にそう思いました。

親なりに社会の荒波に揉まれる厳しさを諭したかったのかもしれません。しかし負けず嫌いの私はこの父親の言葉に歯向かって自分の存在価値を証明するがごとく馬車馬のように働いていることが大きかったのです。

「家族さえ崩壊する。けれど仕事や努力だけは裏切らない。絶対に、死んでもあの人の鼻を明かす圧倒的なプロになってあの日の言葉を後悔させてみせる。」

こんな思いを抱えながら、自分のキャリアを強固で盤石にしようと躍起になっていた。私が仕事に打ち込めていた背景は紛れもなくここでした。

20代半ばで東証一部上場の建設会社の支店長である父親を軽く超える年収を手にして、家族問題に対するやりきれなさを爆発的なエネルギーに変えて馬車馬のように仕事をしていたと言えます。

「やるだけやっているのだから他の職員と比べものにならない。だから私は他とは違う。」

営業のために買った靴は歩き回ることでたった2か月でダメになるような仕事ぶりです。事実、血のが滲んでいた仕事ぶりをしつつも、どこかそんな優越感に浸りきった私は過労という壁にぶち当たることになります。

大人の女性ながら小学生低学年の子と同等の低体重・不眠・気力体力の恒常的な低下・神経障害など、いつ死んでもおかしくないような心身状態になってしまっていました。

30代で心身と家族と投資先の3つが同時に破綻

若くして仕事で成功した私は、どこか詰めの甘い金銭感覚を持っていました。

「安易に信用してしまう」という詰めの甘さで、大金を失ったことがあります。

”100年日本一の金融機関に君臨する企業”に勤務しながら、私募債同然のハイリスクな金融商品に高額な投資をしており、この投資先が破綻したのです。

本来どんな国の金融機関であっても、国が認めない限り金融業は行えません。つまり国の許可を得た金融機関でお金を運用するといったことならば、透明性や公平性が保たれ、おかしな運用になることはありません。

私募債とは一企業が持つ物件などに投資するといった点で金融機関とは全く違っており、投資家のお金がどう運用されるかわからないというハイリスクがあります。

安易に信用してしまう詰めの甘さで心身をぼろぼろにしながら得た大金を失うことがどんなに愚かで恐ろしいことかを思い知ります。

数十年先の蓄えが十分ある状態でこの投資先の破綻に遭遇しており、私自身お金に困ったことは一度もありません。借金が個人的に大大大嫌いです。生理的に受け付けません。

しかしならが心身の破綻と、家族の破綻、投資先の破綻が3つほぼ同時に訪れ、生きる意味が見いだせずにしばらく時間が過ぎました。

絶望から這い上がるためのアクション

過労で心身ともにボロボロでいつ死んでもおかしくないような状態になってようやくある自覚にたどり着くことになります。

FPの仕事はやりがいがあるしスキルや才能はある。意思が強固な一面がありながら、神経がきわめて繊細ゆえにストレスや疲れが過多になると自滅してしまうのだという気づきです。

マイペースでできる仕事して選んだのが起業家で、これまでさまざまな業務を手掛けてきました。

起業当初は未熟な点も多々あったものの、どの分野の事業であっても専門性と技術を基軸にしながら御縁のあったお客様との関係性を大切に育てて起業から10年以上たちます。

また、若くして起こった破綻から自分と自分の人生を立て直すために、経済の仕組み・お金の成り立ち・お金を増やす方法などFPとして知っておきべき周辺知識をさまざまな場所や人から習得しなおしました。

仕事熱心過ぎて過労になった自らのライフスタイルを見つめなおし、仕事から離れて地域などのコミュニティで年上の同性のお仲間から学ばされる機会も大変励みになっています。

現在、「人の幸せを左右するのがお金とあたたかな心通う家族にある」「お金は家族と幸せになるためにある」という視点から、お客様とそのご家族を守る資産形成を深い洞察力と経験でサポートしています。

紛れもなく金融機関の10年の勤務で培った専門性や専門職としての誇りが今を形成しています。

 

私たちにとってお金とは何か?

金融機関に勤務する職員は離職率が高めなことで知られているでしょう。

10年金融機関に勤務した私が言える実感として「お金の力に負けるから」といった点が理由の一つだと思っています。

お金に執着しすぎると、どこか人生が破綻していくのです。

極端な話ですが「お客様が1万円札にしか見えないような私欲で固まった金融マン」が健全な精神で仕事を続けていられるでしょうか?そんな金融マンに人が寄ってくるとはとても思えません。

そんな人間の欲はとめどなく思考の方向性も金銭感覚もおかしくなり、遅かれ早かれ先は病みと闇で八方塞がりになるのは世の理です。

誰しも訪れる厄年や大殺界などは、利己ではなく「利他(社会貢献の考え)」を持って乗り越える人が圧倒的に多いというのも事実。

本来、お金とは人様の悩みや課題を解決した結果ついてくるもので、特に金融業については職務に社会的役割が伴わない限り多かれ少なかれ行き止まりや破綻が起きやすいもの。病気などによって形になることが多いのも事実です。

私の場合は、家族からくる辛さを忘れるために没頭していったワーカホリック(あまりに仕事熱心過ぎて中毒のレベル)で心身の破綻を招きました。専門職としての知識や心意気は誇り高く高潔な社会貢献の一面を十二分に持ち併せていながらも、このようなわずかな方向性のズレでお金の力に負けることをよく知っています。

 

人の幸福を左右するのがお金と愛であることは現代社会の誰にとってもあてはまるでしょう。つまり人とのかかわり・心の豊かさと経済性が現代社会のテーマです。

お客様とのつながりから得た職業観・心身と家族と投資先の破綻からそれが切っても切れないものであることをよく知っています。

 

お金は水の流れのように巡らせて(キャッシュフロー)こそその源泉からまた豊かさが湧き出ます。

お金は心豊かな日々を送るためのツールであり、今はともに生きる家族を幸せにしたりその人のために使うものだと思うのです。

正しい知識を蓄積してしかるべき選択すれば、誰でも同じような豊かさは手に入れられる、そしてその先に周りの人や家族とも幸せになれる、経験を経た今人としてそしてお金のプロとしてお伝えできる立場にあります。

 

経験とは”ある出来事に遭遇したことそのもの”ではなく、”経験からどう行動したか”を言う。‐Bill Marriott-