アメリカへの中国人不法移民急増が意味すること‐中国の覇権を遠のかせる要因

「不法移民」をいうリスクを負い自由を求めてアメリカの地へ移り住む中国人が激増しています。

ここでは中国人によるアメリカへの逃亡が増えた流れ・背景・逃亡している人の本音・逃亡ルートなどといったトピックをお伝えしており、最後にこの事実が中国経済に及ぼす影響についても解説しています。

▼動画版▼

中国人がアメリカへ不法移民として逃亡している

 

中国人によるアメリカ不法移民が激増した流れ

まずは2010年代から中国人によるアメリカ不法移民が増えた流れを見てみましょう。

中国人によるアメリカ逃亡が激増した流れ

  1. 2012年:第1期・習近平政権開始
  2. 2016年:アメリカにより出された中国人への短期滞在ビザ数は220万
  3. 2020年:香港国家安全維持法施行(過去許されていた香港での自由が事実上消滅)
  4. 2022年:アメリカから中国人へ出された短期滞在ビザが16万に激減
  5. 2023年:アメリカへ逃亡する中国人が年間3万7000人を超える(対前年比約10倍)

③について。それまで香港は中国本土とは別な制度が施行され、香港には特別行政区として3権が独立、言論の自由もパスポート発行権もありました。香港である程度の自由があったと言います。

しかし習近平政権になってからというものの、「香港も中国の一部」のごとく、そして1997年の独立後からの「一国二制度」が形骸化していくことに。

さらに、2022年から2023年中国人へ出されたアメリカでの短期滞在ビザが激減した点については、米中での関係性悪化による影響が大きく「アメリカによる中国移民への強い規制」が効いていると言えるでしょう。

ココに注意

2024年現在アメリカと中国については関係性の悪化が深刻化しており、中国は新興各国を巻き込んでアメリカドル離れで動き回っています。

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アメリカと南米の国境を警備する局による摘発された中国人は以下のとおり急増しており、「アメリカ政府が中国人にビザを制限した結果、非合法による移民が激増した結果」と見えます。

NHK

中国ではSNS上で過去数十年に遡り中国政府への中傷批判をするアカウントをあぶり出してから、IPアドレスで投稿者の住所を特定し、規制や処罰の対象としているそうです。

中国ではLINE・Twitter・Facebook・instagram・YouTubeとったおなじみのSNSが使用できず、「中国で開発されたSNS使用強化」が促されてもいます。

逃亡者の本音・アメリカへ逃亡したがる中国人の理由

ココがポイント

中国の逃亡者は主に経済や言論の自由を求め、もっと広く言えば生き方の自由を求めてアメリカへ逃亡すると言います。

中国での謎な消息絶ち

SNSで中国副首相との不倫関係を暴露したプロテニスプレイヤー彭帥選手は、一時消息を絶ったとして話題になりました。こうした「謎の消息絶ち」は中国で結構な頻度で起こっているように思います。

彭帥プロテニスプレイヤーの場合は、逃亡というよりは身柄を拘束されたとも言われていますが、詳細は不明です。

現在の一般人の逃亡者は、ITエンジニア・中学教諭・金融従事者・不動産営業マン・医師など、いわゆる「良質な職業についている人」で多く占められています。

上述しましたように逃亡の費用は約1000万円必要と言われていますから、それなりの収入がないと不可能でしょう。

中国経済は不動産業が3-6割を占めていたと言われており、2023年に不動産バブルが崩壊しました。不動産の営業マンの場合は不動産が売れず減給され経済的活路を求めてアメリカへ逃亡するケースもあったようです。

不動産に限らず中国の経済はかなり悪化しており、世間一般に言われる「アメリカの次なる経済覇権国中国」にはかなりかけ離れた状態であるのは事実。

また中国人において習近平政権下での教育に対し嫌悪感が強まっており、良質な教育の場を求め一家でアメリカへ逃亡する家族もいるそうです。

中国人がアメリカへ逃亡する時のルート

アメリカ滞在のための正当なビザ発行は激減し、また中国政府による逃亡の規制は厳格化しています。

このような背景があり、以下のような逃走ルート情報がSNSで出回るようになりました。

中国からアメリカへの逃亡ルート:「走線」

  1. 中国からトルコへ
  2. エクアドル(中国人にとってビザが不要な場)
  3. コロンビア
  4. ダエリン地峡(密林地帯)
  5. メキシコ
  6. アメリカ(カルフォルニア)

さながら旅行会社のツアー・走線のルート

これら走線と呼ばれる中国からアメリカへのルートは、密入国仲介組織のスネークヘッド(蛇頭)が”旅行ツアー会社さながら”の選べるパッケージ商品を販売しているそうです。

テレ東BIZ youtube

メキシコとアメリカの国境を警備している警官に渡される賄賂の費用も含まれているとか。

逃走のためのルートを辿るには約1000万円の資金が必要と言われており、それでもなおアメリカへの逃亡を図る中国人は後を絶ちません。

一方でジャングルを何日もかけて歩き続けるなど過酷な逃走ルートに堪えられなかったり、不法移民としてアメリカに滞在すること自体に気持ちが荒んでしまったりして中国に戻るケースもあるそうです。

アメリカ側の中国移民への対応

diamondonline

アメリカ政府側からすると、中国の不法移民はどんな存在になっているのを考える時、中国移民への規制を紐解くとわかりやすいかもしれません。

以下のとおりアメリカ政府による中国移民への規制は古くから行われています。

アメリカ政府による中国移民への規制

  • 1882年:中国排斥法
  • 1902年:排斥法の恒久化により居住資格証明書なしにアメリカに居住できなくなる
  • 1943年:マグヌソン法施行により中国排斥法の廃止

アメリカは移民でできた国ではありますが、中国移民に対しては上のように強く規制してきました。

それも中国移民の「モラルにかけたやりたい放題な無法者」を嫌っていたと歴史に刻まれているようです。

それでは近年のアメリカ政府による中国不法移民への対応も見て行きたいと思います。

  • トランプ政権2017~2020年:マイナス3万人
  • バイデン政権下2021~2024年:730万人

トランプ政権の中国移民への対応

  • 2017年~:一貫して不法移民に対し厳格な規制
  • 150億ドルの予算でメキシコに入国防衛のための700Kmに及ぶ壁を構築、移民制限の施策
  • コロナ対策として不法移民を無審査で強制送還(タイトル42の活用)

バイデン政権の中国移民への対応

  1. 2021年~:移民に対し比較的寛容な政策・前任トランプ大統領の移民制限試作を廃止
  2. 2023年10月:公約として「メキシコ国境付近の壁建設取りやめ」を掲げていたものの、建設を続行
  3. 2024年:不法移民対策への不満が高まり国境防衛を強める
  4. 2024年5月14日:不正移民と手を結んだとされているコロンビア企業の主要人にビザを制限。また国境防衛のためにコスタリカと生体認証システムで情報共有
  5. 2024年7月1-3日:走線で南米から国境を超えてアメリカに入ってくるポイントとなるパナマで中国不法移民を捕らえ、大型チャーター機で116人を強制送還。

バイデン政権の不法移民政策については、政権当初は比較的寛容だったものの、移民問題が顕著になった2023年から取り締まりを強化しつつあるようです。

 

「アメリカ逃亡したがる中国人」の激増が中国経済へ及ぼす影響

とどのつまり、中国では経済的自由に欠けており、規制や縛りに耐えかねてアメリカへの不法移民が激増しています。

中国では習近平政権による独裁制で経済が顕著に縮小しており、以下は「中国企業への規制の一例」です。

  • 不動産バブル対策(適切な価格調整等)
  • 学習塾禁止
  • プラットフォーマーによる独占禁止
  • オンラインゲーム規制
  • タレントに対する報酬の規制

ココがポイント

中国には共同富裕と呼ばれる政策があり、一企業が寡占的に富を掌握することを良しとしない経済が正義とされています。

不動産バブルに関しては「異常に上昇した不動産価格を是正・正常に戻す」と言った意味で対策として間違ってもいないと言えるでしょう。

ココに注意

ほかはITプラットフォーマーの寡占状態を必要以上に規制した傾向や、学習塾やオンラインゲームの規制といったように「そんなことまで?」と思わせる政策です。

参考

中国の女優としてたいへん著名なファンビンビンさんに関しては、脱税により追徴課税や滞納金の支払いを命じられました。ファンさんも逃亡を図った一人として知られています。

中国経済の発展は著しいものがありますが、結果的に出る杭は打つ中国政府ですから「躍進したら潰される」という、希望を絶たれる環境。

この状況でアメリカに次ぐ覇権国となりえるかどうかは「かなり危うい」です。

そして中国人民元がアメリカドルにとって代わる基軸通貨になりえるかも、「中国という国の変化次第」なところがあります。

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今のところ例のあの人の独裁制が何とかならない限り、不法移民も減らないでしょうし、中国経済も上がったりなのではないでしょうか。

  • この記事を書いた人

LCFPO

公認会計士事務所での決算業務実務経験を経て、FPとして受けた相談件数は18000名以上。契約の継続率・販売力・商品の品質に関するインターナショナルクオリティアワードを受賞。ほか受賞歴や業界内の取材受注多。現職は資産形成・不動産投資案件やインフラ契約のご相談を承るオフィスの代表FP、事業家。くわしくは「about」よりどうぞ。